あなたは覚えているだろうか。「孫の代わりにイラクで戦わせてくれ」と訴え、ついには逮捕されてしまった勇敢なおばあちゃんたちを。
一昨年の秋、タイムズ・スクエアの新兵募集センターに出かけた「Granny Peace Brigade(おばば平和旅団)」の面々。「私らをイラクへ派遣せよ。私らはもう十分に生きた。孫たちにも幸せな人生を味わわせてやりたい」と主張した彼女たちは、「歩行者の通行の邪魔をした」として警察によって逮捕。昨年行われたその裁判で、彼女たちが無罪を勝ち取った模様は本誌06年5月2週号でお伝えした。
その後もワシントンDCやヨーロッパにまで出かけて反戦を訴えてきたおばあちゃんたち。独立記念日の7月4日は、セントラル・パークのストロベリー・フィールズに集まり、独立宣言の文章を朗読。イラクで戦死したニューヨーク出身の兵士たちの名前も読み上げた。
そんな彼女たちに平和のメッセージを託したのが、近くのダコタ・アパートに住むオノ・ヨーコさん。言わずと知れた元ビートルズ、故ジョン・レノンの未亡人にして、実はかなり前衛的なアーティストだ。「あいにく旅行中」とのことで当日は参加できなかったオノさんだが、「Granny Peace Brigade」のリーダー的存在、ジョーン・ワイルさんがオノさんのメッセージを朗読した。
「世界中のたくさんの人々が平和を求めており、私たちの心は世界中の子供たちと共にあります。誰も孤児にはなりたくないのです。私たち一人一人が立ち上がる時です。私もまた、今日集まったおばあちゃんの一人です」という内容だった。
オノさんからは、メッセージだけではなく、特製ポスターとバッジの配布もあった。オノさんの著書『Grapefruit』に刺激を受けてジョン・レノンが書いた名曲「Imagine」の歌詞がモチーフになっている。中枢同時テロの直後、タイムズ・スクエアの屋外広告スペースに現れた、白地に黒文字だけの巨大広告「Give Peace A Chance」を彷彿とさせる、シンプルかつ美しいデザインだ。